組合仕事で、「ヒガシタニ」というところの植栽予定地の周囲にフェンスを張りに行きはじめた。せっかく苗を植えたところに、シカだのイノシシ・ウサギがひょいひょいとやって来て、美味しくいただかれてしまわないようにする「防獣フェンス」である。
で、本題。
このヒガシタニというところは、うちの村では今やちょっと珍しい「皆伐」跡地である。スギ・ヒノキが植えてあったのを何年か前に全部伐り出して素っ裸にしてしまった状態なのだ。
元から岩ゴロゴロな山だったらしいのだが、禿げ山になって表土が流出したのもあって、かなり殺伐とした風景。
そういうところを緑の山に蘇らそうというのが今回の事業の趣旨らしいのだが、あんなところにクヌギだのサクラだのが根付くのかどうか・・・。
まあ、この事業そのものはどうでも良い話なので、脇におく。
こういう伐採や、山土崩壊・山火事で植生が大きく攪乱された後の、植物にとって落ち着きにくい荒れ地(舗装道路沿いなんかは恒常的な荒れ地ということになる)に最初に生えてくるヤツらを先駆性の植物という。
このフロンティアたちは、他の植物が定着できないような荒れ地に取り付き、自分らの楽園を作ろうと世代を交替しながらだんだん足元が良くなってきたところで他の(より大きな背丈になる)植物に入り込まれて頭を抑えられ、結局自分らは住みづらくなってしまう、という、労多くしてなんとなく虚しい役回りを果たしている。
で、これが今日のポイントなのだが、こいつらはどういう訳かかなりの確率で強烈なトゲを備えてガッチリと武装している。
ヒガシタニは、単に伐採跡地というだけでなく特に土味の少ない岩ゴロゴロな山なので、その分植物にとってはより不快な場所。重武装したフロンティアたちにとっては格好の活躍エリア。
以前ここに測量にきた際のこと。ヒガシタニには林道が通っているのだが、その法面を山側に上がろうとすると、行く手にはまるで山への立ち入りを拒むかのように盛大なイバラの群落が。繁茂したジャケツイバラの凶悪な突撃にあって、ズボンはビリビリ・手足はトゲ刺しだらけの血まみれという酷いことになった。
ぼくにとって山の師であるS藤師は、常々「山には意思がある」と宣うのだが、この時ばかりは本当にその言葉が腑に落ちた。
山は、荒らされるとイバラのフェンスを張り巡らし、いっとき動物の立ち入りを拒む。で、草本から低木、さらに高木、と定着する植物が増え、植生が動物による攪乱に耐えられるようになってくると、「さあ、もう入ってもいいよ」とばかりにフェンスを取り払い再びその恵みを動物に分け与えるようになる。
そこで行われているのはただ光を求める植物種同士の生存競争ではあるのだが、山トータルのメカニズムとして考えてみると、思わずそんな擬人化をしてみたくなるような、精妙な仕組みなのだ。
それにしても、ジャケツイバラはなぜあんなに凶悪なのだろう?
動物を捕まえて獲って食おうというのじゃあるまいし、何もトゲに「かえし」まで付けなくても良いだろうにw