肩がいまだに痛いので、という理由をこじつけて今日は湯治ツアーへ行くことにした。
目的地は十津川と本宮。
紀伊半島の中でいうと、あのエリアは奥座敷と床の間みたいなもんだろう。
ひとまず山を越えて龍神に出る。
大拡幅されて快適ながらも面白みに欠ける国道コースではなく、県道と林道を経て龍神温泉の近くに出たのだが、今日の目当てはここではない。
慣れというのは怖いもので、「龍神村」などという、以前には神話的なあこがれの対象だった場所が、今やただ単にあちこち出かけるために何となく通過するだけのものになってしまっているのだな(笑)
龍神温泉の少し南、龍神村小又川から十津川に向かうR425の酷道区間(牛廻越)が始まるのだが、辺りを見回すとこの連休で繰り出してきた観光車がワサワサ。
あの勇名轟かすR425に紀州路に慣れない県外車が行き交ったら、不快極まりないことになりそうだということで、当初の予定を変更してR425ではなくそれより南、果無山脈の北麓を抜ける険道735(引牛越)で十津川に向かうことにした。
で、R371をさらに南に回り込み、龍神森林組合の脇から十津川に抜ける735へと入る。
この道は、免許取り立ての10年前にレンタカーで紀州を放浪中、十津川へ行こうとして深夜に入り込み、まさに死ぬ思いをした因縁の道。
が、そんな当時の印象を思い起こしつつ走ってみると、別に何てことない「普通の紀州路」だった。
ちょっとがっかり。
当時に比べればおそらく道自体も若干改良されているのだろうが、なんといっても当時は運転に慣れていなかったし、しかも真夜中だったので余計に恐ろしい印象が残ったのだろう。
それに引き換え今や、いわば「通勤」として日々険しい林道を走り回っている訳で、その違いは大きい。
ところで、この県道の途中、龍神村丹生ノ川に、廃校を改装して開かれた丹生ヤマセミ温泉館というのがある。
ちょうど良いので入ってみた。
まだ午前中だったせいか、連休の中日だというのにガラガラ。
受付で600円払って入ると、風呂場は無人。昼間だから良いようなものの照明も消えている。
「まあ、ワカヤマのサービス業だしこんなもんだろう」と思っていると、脱衣所においやんが現れて「おお、兄ちゃんすまんかったの〜」と言って、電気をつけてまわり、他にも何かスイッチを入れていった。
しばらくするとお湯の感触が変わり、温度も上がりだした。どうやらお湯の汲み上げや循環も切ってあったらしくて、最初浸かった時には普通のヌルいお湯でしかなかったのが、今は明らかにアルカリ泉だ(笑)
ことほど左様にアットホームなワカヤマ的観光施設なのだが、谷あいの露天風呂はなかなかいい感じで、アルカリ泉のお湯もぼく好み。一大観光地の龍神温泉よりもこっちの方が好印象だ。また折りをみて浸かりに来たいと思う。
ヤマセミ館を後にして、小雨降る中急峻な山道を走ること約1時間半、「奥座敷」十津川に着いたのだが・・・。
紀伊半島の各所は、99年の南紀熊野博と04年の世界遺産指定で格段に観光開発が進み、急激にその「秘境」性を失ってしまったのではないだろうか、という気がする。この十津川にも学生時代に2度ほど来たことがあるのだが、その頃に比べてやはり随分と「ひらけた」印象だ。
新しいR168が十津川(河川の)の上に高架で作られ始めている。いずれは新宮〜五条間全域に、このような高規格道が通ることになるのだろうか。
確かに川の蛇行に沿って山の縁をクネクネと回り込む細い旧道は走りにくくて不便なのだが、かといって、あんな巨大建造物をぶち立てるとなると周辺環境への負荷は相当に大きくなりそうなのだがな・・・。
とりあえず、蕨尾の公衆浴場に入る(やはり10年ぶり2度目)。
ここは一応アルカリ炭酸泉なのだが、紀伊半島の温泉としてはちょっと異色といえるほど硫黄分が多くてお湯が真っ白。
施設はかなり小汚くて貧相なところなのだが、熱湯の源泉かけ流し放題で、しかもぼくが入った時には客が他に誰も居らず、ある意味非常に贅沢な楽しみ方ができた。
今回十津川に行って、今ぼくらが見る十津川(河川)の風景はすべて、明治に十津川村を襲った大水害の痕であると言うことの意味が、ようやく腑に落ちた。
十津川村域では、十津川の流路としてはまだせいぜい中流域にあたる筈なのだが、河床は全て砂。
川の規模でいえば断然十津川の方が大きいので、谷の深さはそれでも物凄いが、今ぼくが住む辺りのH川中流域と比べ、河床の様相が違い過ぎる。十津川がいかに大きな河川であったとしても、中流域ではもっと鋭くV字谷が切り立って、河床には角の立った大きな岩がゴロゴロしていて然るべきなのだ。
つまり、その大水害で山が崩れゴツゴツと切り立っていた河床がすべて土砂に埋まった、その痕なのだな。今の十津川の風景は。
しばらく十津川村内をふらついた後、R168を下り「床の間」本宮へ。
本宮に着くころには既に「夜」と言うべき時間帯になっていた。
大斎原には新しい巨大鳥居が建てられライトアップされていた。昔来た時にはあんな大きなものは無かったような気がするのだが、思い違いだろうか?
境内に登って、しばらく歩き回る。
日本最古のテーマパーク「熊野三山」の人気マスコットキャラクター「八咫烏」のグッズが欲しかったのだが、社務所は既に営業終了(某鼠園のようなアフターファイブ営業はしていない)。感覚的に本宮はあまり遠くないので、またいずれ来る機会もあるだろうから、ということで本宮大社をあとにする。
川湯温泉の公衆浴場を見に行ったのだが、駐車場代が高いのでパス。今日は既に2回風呂に入ってるし、もういいや。
何となく疲れたので今日はこれで帰ろうという気分になる。
今回は紀伊半島の奥地のじっくり攻めてやろうという気分で、車中泊しつつ回ろうと車に寝袋と毛布を載せて来たのだが、体力以前に気力が尽きた感じだ。
寄る年波には勝てないな・・・ orz
天気もよくないし、と言い訳をしつつ。R311(快適過ぎて味気ない)を中辺路経由で帰還。
まあ、一応は休日を満喫できた。
この辺が連休の有り難みだ。